脳の不思議な機能
年を取って、左脳の働きが弱った人の場合、右脳がその分を補うようになったことにより、突然絵が描けるようになる人がいます。サヴァン症候群の場合もそれと同様の作用があると考えられており、つまり脳の欠点や障害が〝卓越した能力〟と非常に関係しているということができます。
〝欠点があるからこそ、能力が得られる〟というわけです。
サヴァン症候群の能力は誰にでも備わっている
実は誰の脳の中にも、サヴァン症候群の人が持つような能力は〝潜在的には〟あると言われています。
しかし、一つの能力だけを突出させると、脳のバランスが取れなくなって、コミュニケーションが難しくなったり、他の動作に障害が生まれるといった問題がうまれます。そのため脳はあえてバランスをとるためにその潜在的な能力を抑えていると考えられているのです。
サヴァン症候群の人の場合、特殊な能力を得るために一部の能力を手放した、というわけではありませんが、障害のある脳の一部を補うために、脳の他の部位が発達した、という意味では〝障害を持っていると同時に特殊な進化をした人間〟だと考えることができます。
人々にとってそれは障害ではなく才能である
人類の歴史の中ではサヴァン症候群をもっていたとされ、類まれな才能をもった天才とよばれる人々が多く存在しており、その人たちの功績によって様々な分野において進歩をとげることが出来たという記録が数多くあります。彼らの性質が人々によって称賛されるとき、その障害は障害でなく、才能だといえるのではないでしょうか。
また、サヴァン症候群のような能力をもった人を尊重するため、ハンディキャップのある人の身体的障害、知的障害を〝障害〟としてではなく、〝個性〟として受け入れる動きも出てきています。
〝豊かな才能と、豊かな障害は紙一重である〟
この言葉は、サヴァン症候群のダニエル・タメット(卓越した計算能力と記憶力をもつ人)の言葉ですが、まさに彼の言う通り、サヴァン症候群の人の多くは、障害を抱える半面、その障害によって発達した別の能力によって人々に多くの感動をもたらしていると言えます。
そして彼らにとってその能力が世の中に認められることは喜びであり、その能力によって充実した人生を送れるという意味ではダニエル氏のいう通り、サヴァン症候群を持つ人は〝ゆたかな障害〟を持つ人だと言えるでしょう。
