サヴァン症候群は芸術にものすごく長けている?
サヴァン症候群の人の中には、音楽や美術などの芸術の分野に能力を発揮する人が多く、その理由の一つとして考えられているのが、自閉症などの原因となる左脳の障害を、”音楽” ”美術” などの感性などをつかさどる右脳が補おうとして発達するからだと考えられています。
一瞬で景色を記憶する〝直感像記憶〟
卓越した描画能力をもっているとして有名なのがスティーブン・ウィルシャーというイギリス人男性。彼の能力は景色を一瞬見ただけでそれを記憶し、記憶だけでそれを絵画に再現する、というもの。彼の能力で特殊なのが、詳細な記憶を長期間脳に保管することができる、という能力で、これは直感像記憶とよばれるもの。
例えば20年前に見たパリの凱旋門の風景を思い出して正確に絵画に描きおこす、ということが可能で、その絵には景色の細部(門の上部にならぶ、装飾の数など)も正確に描かれています。
彼によると、これまでの数十年で彼が訪れた10カ国以上の風景を、すべて正確に記憶し、いつでも描き出せるといいます。
直感像記憶とは
通常視覚的な記憶は長い年月がたつと脳の中で抽象化され、忘れ去られていきますが、〝直感像記憶〟の脳能力がある人の場合、その記憶が脳内にすべて正確にインプットされ、いつでも取り出すことが可能になります。
また、彼がサヴァンたる証拠ともいえるのが、その描画方法。それは、絵を描く際、キャンバスの〝端から書き始める〟というもの。普通は大体の構図などをきめるため、ラフ画を描く必要がありますが、彼の場合はキャンバス上にはすでにすべての絵が細部まで出来上がっているため、いわばトレーシングペーパーに絵をなぞり写していく感覚に近いのです。
これが絵に秀でているサヴァン症候群の人たちの特徴だといえます。
聴いた音楽をすぐに再現できる能力
音楽の分野でもサヴァン症候群の特殊な能力を発揮する人は多く、初めて聞いた聴いた音楽を即座に暗記し、練習しなくてもすぐに楽器で弾ける人や、楽譜を瞬時に脳裏に焼き付け暗譜し、時間がたってもすぐに思いだして楽器で弾ける、などの能力がある人がいます。
モーツァルトやブルックナーなどもサヴァン症候群だったといわれており、特にブルックナーは極端に人とのコミュニケーションが苦手な作曲家として知られ、異常なまでの作曲技法への執着と、長大な作品へのこだわり、その才能はサヴァン症候群による能力だと考えられています。
